価値観はどうして大切なの?

自然体で生きる

自分らしく人生を生きていくためには、価値観をはっきりさせることが大切だといいます。価値観を明らかにしない限り、他の人の言っていることに流され続けるばかりだと聞きます。価値観を持つ人と持たない人の人生には、大きな違いがあるようです。それはどうしてなのでしょうか。

価値観とは「なにを大事に生きているか」

そもそも価値観とはなんなのでしょうか。それは、辞書的な意味合いでは「何に価値を見出しているか」ということです。これではわかりにくいので、何を大事に生きているのか、と言い換えられると思います。「あなたにとって人生で大切にしたいことは何ですか」という問いの答えと言っていいでしょう。

価値観は、目標とは違います。目標というのは何かを達成すべく掲げるものです。目標はそこに到達して初めて成し遂げられますが、価値観とは身近な日常生活でも心がけることでその状態になれるものです。登山でいえば、目標が目指す山頂であるのに対し、価値観は「楽しんで歩く」とか「森の静けさに浸る」とかそうした状態のことをいうのだと思います。山頂に到達できず目標を達成できなくても、楽しんで歩いたり、森の静けさに浸ったりすることはできるでしょう。

それでは価値観を明らかにすることで、どのような良いことがあるのでしょうか。3つ紹介します。

日々の選択に迷わなくなる

私たちは日々たくさんの選択に迫られています。選択をする際に、判断基準がなければ選びづらいでしょう。品物であれば価格によって高い安いといった基準はありますが、たとえば休みの日にディズニーランドに行くか映画に行くか、本屋に行くか、また友人に声をかけるか一人で過ごすか、私たちには無数の選択肢があります。休みの日にどう過ごすかは価値観が明らかでなくても好き好みで選べると思いますが、もっと重要な決断、たとえば会社を辞めるかどうか、付き合っている人と結婚するかどうか、家を買うかどうかといった、人生において何度もない決断の場面を迫られた時こそ、価値観が問われるのだと思います。

価値観とは自分自身の判断基準です。判断基準が明確であれば、選ぶことに苦労しなくなります。人生そのものの方向性が定まり、決断力が上がります。

例えばアウトドアメーカーのスノーピークという会社があります。理念に「人生に、野遊びを」を掲げ、会社の価値観を明らかにしたThe Snow Peak Wayという声明があります。それを読むと、次のような価値観が見えてきます。

「自然志向」「一人一人の主体性」「グローバルリーダー」「革新」「感動」。

スノーピークはアウトドア好きから熱い支持を受けている企業です。キャンプ場に行くと、このメーカー製のテントやタープを使っている人は多く見ます。私もチタン製のマグカップを長く日常で使っています。スノーピークが支持されているのは、スノーピークらしさをどの製品からも感じるところにあると思います。「スノーピーカー」とも呼ばれるほどのコアなファンを作れるのは、どの商品も明確な価値観によって生み出されるからなのでしょう。

米国のディズニーランドの創設者、ロイ・ディズニーは次の言葉を残しています。

It’s not hard to make decisions when you know what your values are.-

あなた自身が価値を見いだすものを知った時、決断は難しいものではなくなる、と訳せるでしょう。難しいビジネス上の判断でも、価値観を基準にすれば決断していけるのです。逆に目先に利益などにとらわれた判断を続けていると、いずれ立ち行かなくなるのだろうとも思います。

精神面で安定する

2つ目は精神面で安定するということがあります。これは科学的な実験でも証明されています。

価値観に近いものに「セルフコンセプト・クラリティ」self concept clarityという考えがあります。1990年代の米国の心理学者によって提示された概念です。「自分自身がどんな人間で、どんな時に安心できるのか」という自己認識力のことを言っています。

米大のMBAの学生500人ほどにセルフコンセプト・クラリティについて調査したところ、自分ことを客観的に理解できている人ほど、人生への満足度が高く、ストレスも低く、人生の明確な目標を持っていきいき生きているということがわかりました。

日本での実験では、セルフコンセプト・クラリティが高まることによって自尊感情や誠実性が高まり、またうつや不安が抑えれるという結果も出ています。自分の価値観がわかっているからこそ、トラブルにも負けにくく、不安にも悩まされにくいということでしょう。仕事でトラブルにあったとしても、信じる価値観に従って生きていることは間違いないという、前向きな気持ちになれるのだと思います。

ムダ遣いが減りお金がたまる

3つ目は、余計な金を使わなくなることがあります。私の知り合いにも、価値観を見出した後に物欲がめっきり減ったという人が言います。その代わりに自分の好きな学びへの投資を増やしていると聞きます。何を大事にしているか知ることで、自分にとって本当に価値のある金の使い道が明らかになるということだと思います。

価値観が明らかになると、未来の自分をイメージしやすくなります。将来はこうやって生きていきたいというものが具体的に見えることで、今の自分との距離感が近くなるのだと思います。そのために衝動的な物欲に流されなくなるのだと思います。結果的にムダ使いが減り、お金もたまります。価値観と収入の相関関係を示した実験結果もあるようです。

価値観がなくても生きられるじゃないか、という声もあります。確かに生きること自体、全く問題ないでしょう。ただ、自分の人生を生きられるかは別問題です。価値観を持たない人は、流れに流されるままのボートと同じようなものです。価値観というパドルがないので、自分で進みたい方向にはいけません。分岐点で本当は右に行きたいのに、左へと向かう流れに流されるままです。いきてはいるものの、流されるまま次第に絶望していく人生になっていくのではないでしょうか。

私自身、自己理解を通じて5つの価値観が明らかになりました。「自然「安らぎ」「独立」「進歩」「集中」です。この言葉が見えてくるまで1ヶ月くらいかかりました。どの価値観も、今の自分にはしっくりきています。

価値観を明確にした後の自分自身の実感としては、やはり選択に迷わなくなったということがあげられます。自分の一番大事にしたい価値観は「自然」なので、日常でもいかに自分が自然体でいられるか、それを何よりも大事にしています。

例えば仕事にいく服でも、これまでは惰性的にスーツとワイシャツをきていました。でも特別決まりもないのでジャケパンスタイルに切り替えました。その方が自分自身が自然体でいられるからです。夏はポロシャツとジーパンにしました。見かけ上の小さな変化かもしれませんが、自分としては大きな変化だと思っています。周りの人がどう思うかではなく、自分自身の思いを大事にできると、清々しさや自尊心や生まれてきます。人生が好転していっている実感を持てています。

他人を受け入れられるようになる

私はもう一つ、価値観を明らかにする良いことがあると思います。それは他人を受け入れられるようになるということです。価値観は自分自身の軸です。自分の軸が生まれると、他人への優しさも芽生えてくるように感じています。価値観は人それぞれなので、他の人も自分とは違う価値観を大事にしていきているのだろう、という自他の区別ができるように思います。それは他者を尊重するということにつながるのだと思います。逆に自分の価値観が明確でなければ、他人を受け入れることは難しいのではないでしょうか。他人は自分を脅かす敵だと思ってしまうからです。

自分自身の価値観を見つけ出し、あなたがもっとも満足する人生へ踏み出していきましょう。

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