30〜50代の8割が陥ると言われるミッドライフクライシス。「自分はこの先もこのままでいいのだろうか」と漠然とした不安を抱えている方も少なくないと思います。
ミッドライフクライシスは、長い場合では10年くらい抜け出せないままの人もいます。本来は心身ともに充実しているこのミドルの時期に、沈み続けているのはもったいありません。
ミッドライフクライシスはどうすれば克服できるのでしょうか。インターネットの記事を見てみると「生きがいを探求する」「睡眠時間を確保する」「運動をする」といったアドバイスがあります。しかし、どれも具体的なものとは言えませんし、説得力に欠けます。さらに記事を書いた人が不明で、本当に実践して効果があるのか分かりません。
この記事では、34歳の時に深刻なミッドライフクライシスを経験した筆者自身が、危機を乗り越えた経験をもとにして紹介します。私は完全に克服するまで2年間で約300万円の投資をしました。この記事は300万円分の価値があるものです。ミッドライフクライシスは3ステップを踏むことで、確実に乗り越えることができます。
目次
自分を知り直す→新たな物語を作る→情報発信
結論から言えば、その3ステップとは①自分を知り直す ②新しい物語を作る ③情報発信をする、ことです。
この手順はそれぞれに意味のあるものなので、以下に順を追って説明していきます。
ぜひミッドライフクライシスを乗り越えるためにお役立てくださいね
ミッドライフクライシスの方のよくある悩み
ミッドライフクライシスに陥っている方は、次のようなお悩みをお持ちの方が多いのではないでしょうか。
・仕事は落ち着いているけれど、なにか物足りなさ
・本当にやりたいことがわからない焦りと迷い
・自分の人生はなんだったのかという空虚感や後悔
・自分が人生の主人公と思えない無気力感
米国の報告によれば、ミッドライフクライシスは、男性で3~10年、女性で2~5年程度続くとされます。出口の見えない悩みを抱え続けるのは辛いことです。その悩みを、その場しのぎでごまかし続けていても根本的に危機から抜け出すことはできません。2年前の私自身は、まさに上のような悩みの蟻地獄でもがき続けていました。
私たちが生きられる時間は限られています。もちろん、人生の中ではそうした沈んでいる時期にも意味はあります。しかし、停滞期は早めに乗り越えることこしたことはありません。モヤモヤしているよりも、心身あかるく過ごした方が、人生は充実したものになりますよね。
ミッドライフクライシスについてより詳しく知りたい方はこの記事もお読みください。
解決するために大切な3ステップ
自分を知り直す
ここから順を追って説明していきます。ミッドライフクライシスを確実に乗り越えるためにまずやること、それは自分自身を知り直すことです。3つのステップの中で最も重要と言ってもいいでしょう。
ミッドライフクライシスに陥っている方に共通していることがあります。それは「自分自身のことが実はよくわかっていない」ということです。
自分のことがよく分からないとはどういうことでしょうか。私たちは普段仕事をしていると、どうしてもその人の肩書きや所属、地位といった社会的な肩書きに目を取られてしまいます。「あの人は○○会社の人だから」「○○部長の言うことだから」などと考えてしまいます。家庭でも「お父さんだから」「お母さんだから」と言った役割でお互いを見るのが普通になってしまいます。そうしているうちに、自分自身も「私は○○だからこうしなければならない」といった社会的な役割ベースの考えになりがちです。
社会的なルールに自分を合わせすぎることでなってしまうのがミッドライフクライシスです。その状態から脱するために大切なことは、世間体の自分を、自然体の自分に戻すことです。
つまり、肩書きや所属を一切外した自分が、本当は何を望んでいるのか、それを徹底的に見直すことから危機克服の第一歩が始まります。
そのために必要なことは内省です。ご自身としっかり対話する時間をまずは作りましょう。
内省して考えるべき3つのこと
内省といっても何を考えればいいの?といった疑問が出てくると思います。ここについてはいろいろな切り口があります。私がクライシスに陥り、そこから抜け出した2年間であらゆることを試しました。その学びと実践の試行錯誤の中で、以下の3つを見つめ直すことが危機脱出の確実な道になるという結論に至りました。
大事にしたいこと
自分が大切にしたい価値観/仕事を通じて届けたい価値
自分を動かす力
自分の原動力/人生の目的
叶えたい姿
使命/ビジョン/日々の心がけ
これら3つを言語化することが、ミドル世代の方にとって確実に自分を知る道になります。
なぜこの3分野なのかと言えば、過去、現在、未来にそれぞれが当てはまるためです。「大事にしたいこと(価値観)」は過去の自分に答えがあり、「自分を動かす力(原動力)」は今の自分を見つめることで分かり、「叶えたい姿(未来像)」は未来を思い描くことで見えてきます。図にすると、以下のようになります。
ミッドライフクライシスに陥っている方は、自分の過去や現在、未来が整理されていない場合がほとんどです。それぞれを整理しながら、大事にしたいことや、自分の原動力、めざす未来像について一つ一つ言葉にしていきましょう。言語化することであなたの考えはまとまり、少しずつ確実にモヤモヤが薄れていくことを実感することができるはずです。
まずは自分自身が大事にしたいこと(価値観)から見つけていくといいよ
新しいストーリーを作り直す
上にあげた3つのことを言語化した後にすることは、新しいストーリー(物語)を作り直すことです。新しいストーリーというのは、あなたの過去、現在、未来をつなぐ物語を、それまでの古いものから新しいものに更新することです。
ミッドクライシスの方は「人生が行き詰まっている」と感じている人が多いと思います。しかしそこは大きな誤解があります。行き詰まっていると感じているのは、実は自分自身が行き詰まっているのではなく、あなたの生きている物語が古くなって、あなたに合わなくなっているだけなのです。
私たちは、子どもの時には親や先生から「友達と仲良くしなさい」「勉強をしっかりしなさい」「年上の人の言うことをちゃんと聞きなさい」と言われて育ちます。社会に出れば「成果を出しなさい」「上司の言うことはきちんと聞きなさい」と言われて働きます。プライベートでも「20代までにこれはやっておきなさい」「結婚はこんな人としなさい」といった多くの「○○すべき」「◯○は常識」といった社会的お仕着せを与えられて大人になります。そうするうち、知らず知らずの間にそうした周りの人の言うことに合わせたストーリーの中で生きていってしまうのです。
ミッドライフクライシスは、自分ではない誰かが作った物語に自分を合わせて生きることに限界を感じている状態とも言えます。つまり、ミッドライフクライシスに陥っている方に必要なのは、自分自身で描く新しい物語なのです。
新たな物語を作るためにはどうすればいいのでしょうか。いろいろなやり方がありますが、一番シンプルなものは次の流れです。
この物語の流れは、英雄の旅(ヒーローズ・ジャーニー)という考え方をもとにしています。ご存知の方も少なくないかと思いますが、古今東西の神話には、共通したひとつの流れがあります。平常の生活を送っている主人公が、何かをきっかけに変化を余儀なくされ、そこで試練を迎え、新しい世界で戦い、そして帰還するという流れです。ハリウッドの映画のほとんどはこの構成で作られています。
この流れをシンプルにすると①これまでの日常生活 ②試練を迎える ③乗り越えた先に新しい世界が広がる といった構成にできます。
ミッドライフクライシスの方は、これまでの日常生活に違和感を感じ、試練の時に入っているのです。この試練を乗り越えて新たな物語を生きるのか、それとも試練を乗り越えらないままモヤモヤした人生を続けるのか、岐路に立たされている状態と言えます。
この乗り越えた先の世界を描くために使うのが、最初のステップで取り組んだ3分野の言葉です。あなたがこれからどんな存在としてどんな人生を歩んでいくのか、古い物語を乗り越えて新しいストーリーを描いていきましょう。
なぜ物語が効くのか?
「なぜ物語なの?」と思われる方も少なくないと思います。物語といえば、小説家が書くようなもので一般の人には関係のないものと思う人が多いかもしれません。
しかし意外なことに、心理学や医療分野で近年、注目されているのが「物語の力」なのです。例えば、認知療法などの心理療法で最も有効な手法の一つとして「ナラティブ・セラピー」という分野が非常に注目されています。ナラティブというのは語ることを意味し、自分の人生を語り直すことによって、自分の思い込みを外していく手法です。科学的にも効果が証明されている方法です。
私自身もミッドライフクライシスに抜け出す上で、この物語の考え方はとても役に立ちました。これまでの人生を自覚的に「古い物語」として捉え、危機を乗り越えて生きる人生を「新しい物語」として描くことで、自分が変わっっていく意識を明確にもつことができるようになりました。。実際、おもしろいことに1年半前に描いた物語の通りに私は会社員から独立し、起業し、日本一周の旅を実現しました。
物語にはわたしたちが考えている以上に現実を変える力があります。物語は事実の解釈とも言えます。私たちは事実を生きているようで、実は自分が意味づけた解釈の世界を生きています。人生を意味づけし直すことで、過去の出来事も捉え方が変わり、それを土台にして新たな物語が生まれ、それを現実を変えていく力にできるのです。
精神科医の河合隼雄先生と小説家の小川洋子さんの対談集に印象的なフレーズがあるのでご紹介します。
「物語を持つことによって初めて人間は、身体と精神、外界と内界、意識と無意識を結びつけ、自分を一つに統合できる。生きるとは、自分にふさわしい、自分の物語を作り上げていくことに他ならない」
河合隼雄、小川洋子「生きるとは、自分の物語をつくること」(新潮文庫)
ミッドライフクライシスを乗り越えるためには、自分が生きている物語を変えることです。それは決して難しいことではなく、ご自身とじっくり対話をすることで必ず見出すことができます。
自分の物語は自分で作れる。そう考えると勇気が湧いてくるね。
情報発信
そして最後に大切なのは、情報発信です。なぜなのでしょうか。主に2つの理由からです。
発信が大切な理由① 考えをより明確にできる
情報発信に取り組むことで、自分の考えをより整理したり、深めたりすることできます。自分の考えをより明確にすることによって、自己理解をさらに進めることができます。新しい物語をよりよく変化させることもできます。
発信内容としては、最初のステップで考えた3分野から選べばOKです。あなたが大切にしたいことや叶えたい姿について発信していきましょう。重く考える必要はありません。気楽に始めましょう。
発信媒体は、自分の好みに合わせていきましょう。文章が好きな方は、ブログやnote、またはツイッターでもいいかもしれません。写真が好きな方はインスタグラム、動画が好きな方はYoutubeなどがあります。もちろんFacebookなどを使ってもいいでしょう。最初は質にこだわることなく、何よりもはじめの一歩を踏み出すことが大切です。
発信が大切な理由② 想像を超えた展開が生まれる
2つ目は情報発信をすることで、想像を超えた展開が生まれるためです。あなたの発信を誰かが受け取ることで、思っても見ない展開がひらける可能性が出てきます。発信しなければ、どんなにいい考えをもっていても誰にも見てもらえません。発信することで、あなたの新しい物語は現実に変わり、さらに大きく広がっていくのです。
例えば私の場合、情報発信によって、講演会の機会をいただいたり、ラジオに出演するといった経験をすることができました。発信をしていなければそんな展開にはなりませんでした。
現代は、誰もがアウトプットできる時代です。情報発信を続けていくことで、思いもしないチャンスを得ることができます。
危機を抜け出すために注意すること
ミッドライフクライシスを抜け出すために、注意することがあります。それは世間体への意識を取り払うことです。
自分を変えるためには、資格や転職、または出世などが効果があるといった情報にあふれています。そうした情報の多くは、商業的に作られた見せかけのアドバイスです。私は新聞記者として社会的に地位が高いとされる多くの方を見てきました。しかし、肩書きの立派さと、その人自身が幸せそうに働いているのかはまったく別問題だと知りました。
この記事を読んでくださっている方にお伝えしたいのは、世間体を重視して社会的に立派になることは、幸せにはつながらないということです。ミッドライフクライシスに陥った方は、そうした世間体の人生に疑問を感じている、真の意味で優れた方だと思っています。そうした優れた方が、自分の持っている本来の力を内側に閉じ込めたまま苦しむことは、とてももったいなく、私自身悲しく思います。ぜひ今回説明させていただいた流れを使って、危機を乗り越えて新しい物語で生きていただきたいと切に願っています。
まとめ
最後に改めて、ミッドライフクライシスを確実に乗り越える方法をまとめます。
自分を知り直す→新たな物語を作る→情報発信
ひとつひとつ進めていくことで、危機は確実に乗り越えることができます。ぜひ活用してみてください。
ミッドライフクライシスは辛い時期だけれど、乗り越えた先には新しい世界がある。一緒に進んでいきましょう。
フルエール合同会社(代表・安倍大資)では「マイパーパス作り 無料体験セミナー」を開催しています。詳細はこちらをどうぞ。