心の声がわかる?「ジャーナリング」ってなに

自己啓発やメンタルヘルスに関する本や話題に触れていると、「ジャーナリング」という言葉を耳にするようになりました。皆さんはお聞きになったことはありますか。

このカタカナ言葉だけでは、正直なんのことなのかイメージしづらいのではないのでしょうか。私も半年ほど前に初めてこの言葉を聞いたとき、なんのことなのかさっぱり分かりませんでした。

私はこのジャーナリングに出会って以来、毎朝5分の習慣として取り入れました。その効果は小さくないように感じていて、それまで乱れがちだった気持ちが安定するようになり、決断にかかる時間も短くなったように思います。この記事では、ジャーナリングとはどのようなもので、どのような効果があるのか、関連する資料をもとに私自身の経験も踏まえて分かりやすくお伝えしたいと思います。日々胸に抱えているモヤモヤを拭い去って、より自分らしく生きていきたいと思う方にお読みいただけると嬉しいです。

目次

自分の心が感じているままに書く

ジャーナリングは日本では、主にカウンセリングやコーチングなど心理分野でこの1、2年で少しずつ話題になっている手法です。マインドフルネスが認知されるのと合わせて、広まってきているもののようです。米テキサス大学の社会心理学者、ペネベーガー氏が1990年代に考案したものだとされています。

日本ではジャーナリングという一言で紹介されていますが、分かりづらさはこの一語で表現されていることに原因があると思います。米国では、Expressive JournalingやExpressive Writingと表現されています。こちらの方が、まだイメージしやすいのではないでしょうか。Expressiveとは、思いや感情を表現する、といった意味があります。つまり、ジャーナリングとは、感情を書き付けること、ということでしょう。「心が感じるままに書く」と言えるかもしれません。

自分の思いを書くということでは、日記も同じようなものだと思われるかもしれません。日記とはどう違うのでしょうか。

私自身も夜寝る前に、手帳に10行くらい日記をつけています。日記はその日に起こったことを一度思い出し、文章として整理するものだと思います。後から見返して、あの日に何があったという記録として役立つものになると思います。

しかしジャーナリングは、日記のように記憶を整理して記録するということとは違うのです。ジャーナリングで何より大事なことは「考えないこと」なのです。アタマで考えてはいけません。ジャーナリングの目的は、心が感じている本当の思いに気づくことです。心の声は音量が小さいため、アタマのフィルターを通してしまうと聴こえなくなくなってしまいます。イライラした時に思い切り紙に殴り書きをしたらすっきりした経験はありませんか。イメージとしては、そうした胸のうちの感情をそのまま表に出すといった感じです。

2分でも心身の健康に効果あり

ジャーナリングはどのような効果があるのでしょうか。たんに気持ちを書き付けるだけで、本当に良いことがあるのでしょうか。

効果は人それぞれだと思いますが、私個人として5ヶ月間続けてきた実感としては、自分の素直な気持ちに気づき、私はまぎれもない私なんだ、といったさっぱりした気持ちを保ちやすくなっているように感じています。

私を含め会社員や組織に所属する方は、みなさん日々やらなくてはならない業務や仕事上の付き合いに追われているのではないでしょうか。意に沿わない上司の指示にも、自分の気持ちを押し殺して従わないといけないことも少なくないのではないかと思います。これは私自身の経験でもあるのですが、そうしたやるべきことに追われていると、だんだんと自分自身が本当はなにを考えているのかよくわからなくなり、自分がやりたいことも見失う無感覚で無感情な危うい状態に陥ってしまいかねません。

ジャーナリングによって自分の胸のうちを確かめることで、自分は本当はなにを望んでいるのか見えてきます。私は以前まで、自分自身がわからなくなる感覚にたびたび陥っていたのですが、ジャーナリングを習慣に取り入れて以降、そうした得体の知れない心細さを感じることはほとんどなくなったように思います。

ジャーナリングによる心理面での効果は、科学的にも検証されているようです。いくつかの資料をあたると、以下のような研究結果が証拠になっているそうです。

大学生49人を対象に、自分にとって重大だと思えることについて2日間続けて2分間書いてもらった。書いた学生はただちに気分が改善し、4〜6週間後の健康状態にも効果が見られた。
自分にとって最も意味のあると感じる個人的な経験について、数日間15分書き続けた学生は、体調と血行がよくなった。学業成績も上がった。
失業したホワイトカラーに5日間続けて20分間ずつ、自分の気持ちについて書いてもらった。ジャーナリング取り組んだグループと、しなかったグループでは8ヶ月後に新しい仕事を見つけた割合に顕著な差が出た。ジャーナリングしたグループの就職率は68.4%、しなかったグループは27.3%だった。
いずれも米国の大学による調査

2分間を2日間続けるだけで、数週間後の健康状態が上向くのか、少し疑問に感じるところもあります。ただ、自分の実感として、確かに気持ちの安定につながっていると思います。思いのままに書いているうちに、思いもよらない発想が生まれることもたびたびあります。大事な決断をする前に自分の思いを確かめて、悔いのない判断をすることにも有効だと感じています。

唯一のルールは手を止めないこと

それではジャーナリングはどうやるのでしょうか。いたって簡単です。準備するのは、紙とペンだけです。紙は一枚紙でもいいですし、ノートでも大丈夫です。ペンはできれば書きやすいものをご用意ください。

ルールは1つだけです。「手を止めないこと」です。字は丁寧に書こうとしないでください。文章がおかしくてもまったく気にすることはありません。単語を並べるだけでも大丈夫です。頭で考えてしまうと、手が止まってしまいます。書くことがないと感じても「私はいま◯◯のことを考えているけど書くことがなくて・・・」といったようにとにかく手を動かし続けてください。繰り返しになりますが、大事なことは心の声をそのまま出すことなのです。

時間はどれくらいがいいのでしょうか。私個人の意見としては、5分で十分だと思います。初めのうちは5分でも長く感じると思うので、3分で良いと思います。手を止めずに書き続けると3分でも言葉がたくさん出てきます。カップ麺の出来上がりを待つ3分の間に、自分自身にとって大事な気づきが得られるとしたら、ずいぶんお得なことではないでしょうか。ジャーナリングを説明するサイトの中には、20分くらいがいいという説明もありますが、それは大変すぎるような気がします。まずは短い時間で試してみることをおすすめしたいと思います。

ジャーナリングおすすめテーマ15選

ではどんなテーマを選ぶと良いのでしょうか。私は個人的に、自分がその時に一番考えてみたいテーマを選ぶのがいいかなと思います。例えば、気持ちがもやもやしている時は「あなたは今、何を感じていますか」をテーマにします。また決断に迷うことが出てきた時は「あなたは本当は何をしたいの」について書いて自分の思いを確かめます。

ジャーナリングはテーマを自由に設定できることが魅力です。身近なテーマから突拍子もないテーマまで、制約はありません。その時の心の状態や目的に合わせて考えてみるといいと思います。

特に考えたいテーマが見当たらないという方もいると思います。ジャーナリングを半年間、ほぼ毎朝続けてきた私が、お勧めしたいテーマをご紹介します。ご参考にされてみてください。

ジャーナリングおすすめテーマ15選
▽自分の本心に気付きたいとき
・あなたは本当はなにをしたいのですか
・あなたにとって譲れないものはなんですか
・時間が経つのを忘れて熱中することは何ですか
▽理想の未来を描きたいとき
・描く未来が全て叶うとしたら、5年後どこで誰とどんな生活をしていますか
・あなたの葬儀を思い浮かべてください。友人があなたに心からの感謝を述べています。何と言っていますか
・あなたの人生で、これから実現する最高の瞬間を写真に撮ります。どんな1枚ですか
▽発想を広げたいとき
・目の前にいる中学2年生のあなたに人生のアドバイスをしてください。何を伝えますか
・私がもし首相になったら、日本の何を変えますか

・朝起きて、私の性別が変わっていたら何をしますか
▽勇気を奮い立たせたいとき
・この挑戦が失敗してもあなたに残るものは何でしょうか
・きょうが人生最後の日だったら、何をしたいですか
・世の中に失敗という概念がなかったとしたら、何をしますか
▽自分と深く向き合いたいとき
・あなたにとって、どうしてもイヤなことは何ですか
・あなたが今死んだら、一番後悔することは何ですか
・どうしても口に出せない誰かに対する本音を打ち明けてください

ジャーナリングはほかの誰に見せるものでもありません。ポジティブなことばかりでなく、ネガティブな気持ちも思い切り書きつづってください。研究結果では、書く内容がポジティブであってもネガティブなものであっても、気持ちを改善させる効果は変わらないことがわかっています。目の前の白い紙はあなただけの自由な世界です。ふだん言葉にしづらいことを、思い切り書き出してみましょう。

最新の調査結果によれば、手書きだけでなくパソコンに打ち込んでも効果があるそうです。手書きなんて古い、という方も少なくないかもしれません。パソコンにキーボードで打ち込んでも、スマホでフリック入力をしても大丈夫なようです。ただ入力が自分の意のままにいかないと、湧いてきた感情をすぐに言葉にすることはできません。ストレスになってしまい、心の思いを聴くことが難しくなってしまうように思います。

個人的は、ノートに手書きするのが一番集中できるかなと思います。ちなみに自分は次のようにやっています。「あなたにとってどうしてもイヤなこと」をテーマに書いた日のものです。

改めて見返すと、自分にすら読めません。でもこれで良いのです。私の場合は書き終えた後、自分にとって大事な気づきを赤ペンで端的に整理します。自分の思いをよりはっきりさせて、気づきを実際に自分の行動を変えることに生かしたいと思っているためです。「心が変われば行動が変わる」という言葉がありますが、まさにそれを実感しています。

3つのまとめ

ここまで、ジャーナリングのおもしろさが少しでも伝わっていれば嬉しいです。最後に、この記事の3つのまとめをお伝えします。

  • ジャーナリングは自分の本心に気づくこと
  • 紙とペンを持って手を止めない
  • 考えたいテーマを自由に選ぼう!

自分の偽りのない気持ちに気づければ、生きること自体が楽になると思います。自然体で自分らしく生きていくことにジャーナリングはきっと役立つと思います。自分と向き合う5分の習慣を、日々の生活に取り入れてみるのはいかがでしょうか。

▽参考図書, URL
「『手で書くこと』が知性を引き出す」(吉田典生)
「サーチ・インサイド・ユアセルフ」(チャディー・メン・タン)
ジャーナリングの効果についての論文:pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18230223/

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