新聞記者出身のプロコーチが、分かりやすく伝える技術についてご紹介していきます。
1回目は「要点を一言で」です。
読んで伝わりやすい文章は、たいてい要点が短く書かれています。伝えたいことを、コンパクトに表現しています。
逆に、伝わりにくい文章では文章が長かったり、わかる人だけにわかる言葉が並んでいたりして、結局何が言いたいのかわからない場合が多いです。
伝わらない文章の典型例として、官庁のリリースがあります。例えば私が過去3年間担当していた環境省のリリースを見てみましょう。
例えば、昨日9月22日のリリースです。以下の文章を一度お読みいただけますか。
「第14回アジアEST地域フォーラム(主催:環境省及び国連地域開発センター(UNCRD)等)」、「第3回日ASEANスマートシティ・ネットワーク(ASCN)ハイレベル会合(主催:国土交通省)」及び「水と災害に関するハイレベルパネル(HELP)の専門家会合(主催:国土交通省等)」を「持続可能で強靭な交通・都市に関する国際会議 Aichi 2021」として合同で開催します。また、SDGs AICHI EXPO実行委員会が主催する「SDGs AICHI EXPO 2021」が連携して開催されます。期間は令和3年10月18日(月)から同年10月23日(土)です。
引用:https://www.env.go.jp/press/110022.html
これを一読で理解できる人は、どれだけいるのでしょうか。官庁の場合は、分かりやすさよりも「正確さ」(役人同士であとから何か言われないようにする内向きの言葉)を重視しています。
例えば、これを短く伝わる言葉にしてみましょう。
新聞風に考えれば、次のような見出しがつけられるでしょう。
◎インフラ強靭化へ国際会議
〜環境省など10月、交通や都市問題など議論
引用した280文字(カギカッコなど含む)が、わずか30文字になりました。文章量で言えば、9分の1以下です。
だらだら説明が長い上司は、上のリリースのようなわけのわからない言葉を並べている場合が多いのではないでしょうか。それは聞く側の時間も労力も奪う行為です。時間で言えば、9分かかっていた説明が、1分で伝わるのです。残った8分で、議論をしたり、行動に移した方がよほど生産性が上がるのではないでしょうか。
要点を短くするポイントをお伝えします。
・主語を押さえる
・結局何をするのか
・いつやるのか
・場所は
・なぜやるのか
・どのようにやるのか
お気づきかもしれませんが、結局5W1H(Who、What、Why、When、Where、How)です。基本的なことで、難しいことではありませんね。
この文章では具体的には
誰が:環境省や国交省
何を:国際会議
いつ:5月
場所:愛知
なぜ:災害の被害が大きくなっているから
どのように:各機関が連携して
といったことになります。新聞記事の見出しは、これらの言葉を組み合わせて作っているのです。見出しは、中学生にも伝わるように作られています。見出しの付け方をマスターすれば、誰にでも伝わる文章が書けたり、話ができるようになるのです。
伝わる言葉をマスターし、伝えたいことを誰にでも伝えられる人になるのは、難しいことではありません。基本をマスターすれば誰にでもできるのです。