ビジョン

世間体の人を自然体で生きる人に変える

このビジョンには一人ひとりが自分の思いに従って、自分らしさを思い切り発揮して生きてほしいという私の心からの願いを込めています。

12年間の記者生活で私が学んだことは、人がその人らしくいきいき生きることに、社会的なエラさはまったく関係がないということでした。大臣、社長、教授、官僚、博士など肩書きがリッパな方と多く対話をしてきましたが、私は社会的に偉くなることと、満ち足りた思いでその人らしく生きていくことは、まったく別問題だと思い至りました。

有名無名関係なく、自分でやりがいを見出したことに励んでいる人の言葉こそ、私の胸に響きました。人がその人の人生を生きるとは、自分の言葉で人生を語ることではないかと思いました。

日本には「世間体」という言葉があります。これは外国語に翻訳できない言葉だそうです。いまでも「世間体がよくない」とか「世間が許さない」といったフレーズを耳にします。「世間」がよりカジュアルに現代風になったものが「空気」だということもききます。

日本は国際的にも、精神を患う人がもっとも多い国の1つです。国の調査では、2017年の精神疾患の総患者数(統合失調症、気分障害など)は約420万人となっており、直近15 年間で6割増えています。命を絶つ方も年間約2万人います。ここにはいろんな問題があると思いますが、私はこの生きづらさの大きな原因のひとつは、「世間」という日本ならではの閉じた空気感にあるのではないかと思っています。

「世間や空気という自分を縛りつけるものから脱して、自然体で一度きりの人生を思い切り生きたい」。34歳の時に精神を病んだ自分が、切実に願ったことでした。自然体で生き直し、だんだん見えてきたものは、光にあふれ色鮮やかなあかるい世界でした。それはどんより厚い雲に覆われた薄暗い世間体の世界とはまるで違うように感じています。

地球の歴史は46億年だといいます。私たちが生きられる100年は、地球の歴史のうちコンマ1秒にもはるか遠く及びません。どれほど刹那の時間かと思い知らされます。その私たちが生きられるほんのわずかな時間を、世間体という謎の空気に縛られて、自分らしさを押し殺して生きていくとしたら、なんと残念なことなのでしょうか。

私は、世間体を気にして自分の思いを内にとどめて生きるのではなく、一人ひとりが自然体の自分を思い切りいかして生きていってほしいと心から願っています。くすんだ世間体の造花ではなく、鮮やかな色彩を放つ自然の花で彩られた社会を作っていきたいという思いを、このビジョンに込めています。